REPORT
2019
11.14

ソフトボールは“下から”ではなく“下で”投げる

増淵 まり子 ソフトボール シドニー五輪銀メダル

writer:戸塚 啓

スポーツにおける「距離」は黄金である。
プロ野球の投手板からホームベースが18.44メートルでなかったら、ピッチャーとバッターの心理戦は面白みに欠けてしまうかもしれない。サッカーのペナルティスポットが11メートルでなかったら、GKが有利になるかもしれない。フルマラソンの42.195キロにしても、最後の195メートルが名勝負を生み出してきたといえる。

ソフトボールなら13.11メートルに、ドラマが凝縮されている。投手板からホームベースまでの距離だ。
シドニー五輪で銀メダルを獲得したチームに最年少で選出され、決勝のアメリカ戦にも先発した増淵まり子は、13.11メートルの距離に翻弄されたひとりである。現在は淑徳大学教育学部で教鞭を執りながら、ソフトボール部の監督を務めている彼女が、『ソフトボールにおけるピッチングフォームの身体的メカニズム』を言語化した。

2019
10.14

ピラティスは身体をコントロールするための学習

辻 茜 ピラティス・マスタートレーナー

writer:岡野 嘉允

「背骨の、上から15番目を動かしてみてください」
そんなお題を出されたら、大抵の人は面食らうだろう。だが、ピラティスのオーソリティー・辻茜は「それをできるように“学習”するのがピラティス」と言い切る。見えない部分の骨や筋肉を意識し、正しく“コントロール”する――それがピラティスの本質なのだと。
「ヨガの仲間」でもなければ、「ハードな腹筋運動」でもない。
我々がなんとなく抱いていたピラティスのイメージを覆すパワーワードの数々。マスタートレーナ―として後進も育成するスペシャリストの言葉と理論は、驚きと発見に満ちていた。

2019
09.14

身体操作で、身体のサイズは凌駕できる

中野 崇 スポーツトレーナー/理学療法士

writer:戸塚 啓

人呼んで「身体操作のスペシャリスト」である。
スポーツトレーナーと理学療法士の肩書を持つ中野崇は、「最少の時間で最大の成果」をあげることを自らに課す。プロ野球選手やプロサッカー選手をはじめとして、様々な競技のアスリートをサポートしている。18歳にしてサッカー日本代表に名を連ねる久保建英の育成期に関わり、2015年末からブラインドサッカー日本代表のフィジカルコーチも務めている。
西洋発祥のスポーツに西洋の身体観を取り入れ、日本古来の武道や武術の理論を大切にする中野が、「フィジカル」を言語化すると──。

2019
08.14

ラグビーのタックルは肩に拳を作る

伊藤 剛臣 ラグビー 元日本代表(代表キャップ62)

writer:戸塚 啓

アスリートの言葉には説得力がある。トップクラスのアスリートになると、「なるほど」と頷かされるだけでなく、「そうだったのか」という驚きや発見も誘う。
ラグビー日本代表として1999年と2003年のW杯に出場し、46歳まで現役を続けた伊藤剛臣の言葉には、生々しい迫力がある。
名門の神戸製鋼で一時代を築き、トライアウトを受けて釜石シーウェイブスで現役を続けた男は、自らが愛してやまない競技の本質を分かりやすく、そして真摯に語るのだ。

2019
07.14

100分の1秒を縮めるため、肋骨の間隔を広げる

山口 美咲 競泳 北京・リオデジャネイロ五輪日本代表

writer:戸塚 啓

スポーツを伝える手段として、もっとも分かりやすいのは映像だろう。決定的な瞬間をとらえたひとコマは、圧倒的な迫力を持って真実を浮き彫りにする。最先端の映像技術を駆使すれば、プレーヤーの技術を克明に解析することさえ可能だ。
とはいえ、映像は万能ではない。可視化できないものは、伝えることができない。そして、我々が視覚でとらえることのできないところにも、スポーツの真実は隠されている。
映像がとらえていない、とらえきれないスポーツの核心に、言葉で光を当てる──それこそが、スポーツを言語化する目的である。